青柳
　冬になりあんこうシーズンに突入したので、ここを紹介しないわけにはいかないでしょう。
　大洗といえばあんこう鍋が有名ですが、これはもともと一般的に食べられていた料理ではなく、漁師料理の『どぶ汁』をもとに観光客誘致のために考案され、地域に定着した料理であります。
（そういった経緯があるので、地元の人はあまり食べない料理だったりします）
　どぶ汁は鍋であん肝を煎り、そこにあんこうの身と野菜と味噌を加えて煮込む料理で、だしなどの水分を一切加えないのが特徴（あんこうの身と野菜から出る水分で鍋のスープができる）。
　しかし、焦げやすいため料理人がつきっきりで見ていないといけないなどの問題もあり、大洗ではだし汁を加えてのばしたタイプのあんこう鍋が主流となりました。完全無加水の『どぶ汁』を提供しているのは、大洗でも５店あるかどうかといった所です。

　さてこちら、『青柳』のご主人は某ホテルの総料理長として、完全無加水のどぶ汁を長年調理しつづけ、大洗にあんこう鍋が定着するのに尽力された、偉人といっても差し支えないお方。その料理長が定年退職された後、自宅を改装して始めれれたのがこちらのお店です。
　買い付けから裁き、調理まで全てご主人自身の手によって提供される『どぶ汁』は絶品などというありきたりな言葉では表現しきれない完成度。大げさでなく国宝に認定すべきだと思っています。
　年に一度、こちらにどぶ汁を頂きに行くのを心の底から楽しみにしています。できれば全国民に一度は食べてみてもらいたいくらいおすすめの鍋ですが、これ以上人気が出て予約がとれなくなったら困るな……
https://goo.gl/maps/xNe9qQgBss6jHKhd9